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Posted by おてもやん at

2011年02月06日

分かりやすい清酒醸造学 №7 酒母=酛(もと)について

分かりやすい醸造学-7‐酒母=酛(もと)について

◆ 酒の母

 酒の母と書いて酒母(しゅぼ)と読みます。または、昔は酛(もと)と言っていました。酒母からお酒が生まれます。
 酛という字からも意味が読み取れます。「酉」と「元」で出来ています。「酉」は「さけのとりべん」で、酒を表します。「元」は「みなもと」を意味します。酒の素という意味です。

 お酒のいう液体の特徴を一言でいうと『アルコール(エチル)が入っていること』ですね。では、アルコールはどのようにできるかというと、糖分を酵母が食べます。酵母は取り込んだ糖分でエネルギーを得ます。体内で消化して行き、アルコールを排泄するのです。よって、酵母によって糖分がアルコールに変えられているのです。


◆ 酵母はどこにいるのか?

 酵母はどこにいるか?ということになります。酵母は微生物です。自然界の空気中を漂っています。目には見えませんが、顕微鏡を使うとはっきり観察することができます。

 その酵母にはいろんな種類があります。ワインしたら美味しいワインを造るワイン酵母。焼酎を造る時に使う焼酎酵母。パンの種を造る時に用いるパン酵母。清酒や吟醸酒を造るための清酒酵母、吟醸酒酵母。
 中には、アルコール発酵が下手でアルコールを全く造らないダメ酵母もありますし、アルコールの他に人間の人体を害する毒性の物質を造り出す酵母もいます。

 現在は、いろんな酵母を培地培養することによって、さまざまな物質を作り出して、さまざまな製品の原料、薬の原料として利用しています。この技術が広い意味で「バイオテクノロジー」といいます。

 日本は、資源が乏しい国だけに、酵母や微生物を巧みに使うことによってバイオテクノロジーの先進地でもあります。私たちの現在の生活の中で、この技術無くしては出来上がらないといっても過言ではありません。

 ここにおいては、清酒酵母を話題にしたいと思います。


◆ 家付き酵母

 「家付き酵母」という言葉を聞いたことがありますか?。
 今も、昔も酒造蔵の天井や壁、蔵内の空気中に住みついているいる酵母が『家付き酵母』です。昔は、それぞれの酒蔵の家付き酵母が、自然に桶の中の醪(もろみ)に落下して、酒が仕込まれました。このような家付き酵母は一種の野生酵母であります。安全に安定して醸造することに向いていない傾向にあります。(続)



※写真:千代の園酒造㈱にて 純米吟醸50%精白の酒母(酒母完成) 2003年01月15日  


Posted by たわらや at 17:18Comments(0)

2011年02月06日

冨士酒造で神力を仕込3加藤清正公生誕450年没後400年記念

冨士酒造で神力を仕込む №3
-加藤清正公生誕450年 没後400年 九州新幹線全線開業記念企画-


(前回の続き)
■ 栄光冨士・神力の洗米ついて

 いよいよ神力の酒づくりがスタートしました。
 私たちが食しているご飯用のお米は、精米歩合でいうと97~92%です。しかし、酒を仕込むお米は、高精白しています。栄光冨士「神力」純米吟醸を仕込む場合では、精米歩合50%です。
 当然、精米歩合が小さければ、小さいほど、割れやすくなります。しかも、酒米は、米の中心部に「心白」があります。この部分は、特に柔らかい部分です。ですから、日本酒を仕込む場合の洗米作業は、丁寧に、細心の注意を払って、大事に、大事に原料米を洗っていきます。

 この時、蔵人は、原料米がどれだけ水を吸収するかを測ります。水に浸す前の白米の重量を測り、洗米後の白米の重量を再び測ります。その差は、白米が吸収した水分ということになります。
 冨士酒造では、写真のように最新鋭の洗米用の機械を使っています。水流をおこし、米が割れないように丁寧に洗米する機械です。そして、洗米後の重量を計測してくれるという優れ物です。

 写真は洗米した神力が笊に降ろしているところです。真っ白な神力が出されています。

 神力の特徴として、お米が硬い傾向にあります。冨士酒造では、神力に吸水することにたいへん気を使ったということでした。

 余談ですが、明治時代以後、優れた品種を掛け合わせて品種改良が進みます。神力×亀の尾と交配させて産まれた品種が「五百萬石」「美山錦」「たかね錦」です。現在でもこれらの品種は銘醸地の代表的な酒米として活躍しています。五百萬石も米が硬いと言われますが、この特性は神力譲りの特性なのかもしれません。




※写真提供:冨士酒造より
(つづく)

  


Posted by たわらや at 16:53Comments(0)