スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  

Posted by おてもやん at

2011年02月02日

知っているようで知らない酒の話№128酒蔵の労務管理(前編

知っているようで知らない酒の話 №128 江戸時代の酒蔵の労務管理「前編」

■ 千石蔵(江戸時代)の労務管理

 労務管理というと、1930年代、アメリカの自動車産業で実践されて世界中にひろまったようでありますが、日本において、17世紀後期にはすでに千石蔵で実践されていたことには驚きます。

 造り酒屋における季節労働者の職制が固定化したのは17世紀後期のことであります。江戸への下り酒のため生産規模が拡大し、酒造マニュファクチャー形態が整います。千石蔵で実際的に酒づくりに携わるのは

「蔵人」と「米搗き・碓屋」でした。

「蔵人」とは、千石蔵で直接諸白による酒づくりに従事する職人です。

「米搗き(こめつき)・碓屋(うすや)」は、米を搗く、精米する職人です。



■ 上方の蔵人の職制について

 千石蔵が合理的だったのは、この職能により職制を定めて、職人の役割を分掌させていたことでしょう。この辺りをみても、日本人、先人たちの知恵に脱帽します。欧米での労務管理が起こるおよそ300年前にそのような理論が体系化され、当り前に実践されていたのです。

杜氏…オヤジ、親方と言われた。酒蔵の主人から酒蔵における技術や労務の一切を委嘱されて酒造りを行う最高責任者。

頭(かしら)…世話やき、脇、世話役と呼ばれていました。杜氏の補佐役で、蔵人を直接指導し、日常の実務作業を管理しました。杜氏が理事長ならば、頭は専務理事でしょう。
麹師(こうじし)…衛門、大師、代司、麹屋などと呼ばれていました。麹造りの主任です。酒づくりにおいて、一麹、二酛、三造りと言われるように、よい麹を造るか否かで決まります。

酛廻り(もとまわり)…酛屋と言われていました。麹の次に大切なのはいい酛(酒母)を造ることです。酛の管理を行う職人です。

道具廻し…酒づくりに必要な道具類の整備と管理をする人。

釜屋…酒米を蒸すための作業一切を仕切る職人。

上人(じょうびと)・中人(ちゅうびと)・下人(したびと)…頭の指導で、蔵内の雑務に服する職人。経験と技術を持つものが上人。その次が中人。飯焚きから上がって酒づくりに始めて関わる初心者が下人。

飯焚き(ままたき)…蔵人の食事と風呂の係。たいてい、新参のルーキーがこれに当たる。人の世話ができなければ、酒づくりはできない、とある杜氏は言っていました。酒づくりで大切な「察する」ということを学ぶ第一歩の役でした。



(明日は米を搗く職人について書きます)
  


Posted by たわらや at 06:16Comments(0)