2011年09月05日

知っているようで知らない酒の話№158塩害に強いコシヒカリ

09月05日号: 知っているようで知らない酒の話 №158
- 塩害に強いコシヒカリをつくる -



 今年3月11日の東日本大震災で、東北6県に津波が押し寄せました。田んぼにも津波が押し寄せ、その後、稲を植えようとしても、津波による塩害で稲が育ちません。そんな、津波の塩害による被害を受けている田んぼの広さは、東北6県で2万3600ヘクタール(=2万3600町歩)。=236平方キロメートルです。

 数字ではピーンときませんね。この面積は、一辺が15㎞362mの正方形と考えて頂ければ分かりやすいかと思います。

 2006年の日本の水田の面積は、約24,000平方キロメートルですので、塩害による被災した水田の面積は、全水田のほぼ1%です。福島、宮城、岩手と言えば、日本有数の米どころ。農業がそれぞれの農村の基幹産業であるため、被災した水田の復興は、農村の存亡がかかっているのです。復興の期間が長くなれば長くなるほど、高齢化が一段と進み、離農に繋がり、最終的には農村社会の破壊となるのは必至。

 さりとて、塩害の田んぼに植えたコシヒカリは、塩の被害で育たず、1~2カ月で枯れてしまうという有様です。



◆ 塩に強いコシヒカリの開発へ

 農研機関・作物研究所では塩分に強い品種を開発しています。どのようにして、塩分耐性のコシヒカリを作るのでしょうか?。
 インド原産の米の品種に『ナノボクラ』(Nona Bokra)という品種があります。この品種は、塩分濃度が海水の1/7の濃度でも育ちました。同じ濃度の塩水ではコシヒカリは枯れてしまいました。

 『ノナボクラ』という米には、塩分耐性の遺伝子が組み込まれています。これをコシヒカリと交配させて、塩分耐性のある塩分耐性コシヒカリという新しい品種を作り出すプロジェクトがスタートしています。



◆ マルチ品種

 塩分耐性を既に持っているナノボクラを、塩害にあった田んぼに植えたとします。ナノボクラがインドが原産であるため、東北の地域で気候的に馴染むか未知数です。仮の収穫ができたとしましょう。食味にうるさい日本人にナノボクラの食味が受け入れられるか?。きっと受け入れられなく、売れない品種となるでしょう。

 遺伝的多様性が失われ、コシヒカリ系統の品種が寡占状況を作り出している中、新しいアイデアで品種を作り出すことが多くなってきています。遺伝的に異なる品種を組み合わせて、新たな機能を搭載した品種の登場です。業界では「マルチ品種」と呼んでいます。この技術を応用することで、塩分耐性のコシヒカリが誕生します。
(明日へ続く)

本日イチオシの旬の酒
知っているようで知らない酒の話№158塩害に強いコシヒカリ
【雅山流 九郎左衛門 外伝 諒(りょう) 多麹仕込純米】
灼熱の夏がやってきました。節電ムードの中、体をクールダウンさせるお酒の登場です。脳天直撃な酒「諒」。この度発売される『九郎左衛門 外伝 諒』は、蔵人が入社2年目に始めて醸した多麹仕込(麹歩合約50%)の酒です。色濃く芳醇な味わいの純米酒に仕上がっております。氷を入れて、炭酸水、サイダー等で割ることでより美味しくいただけます。

原料米: 出羽の里
精米歩合: 65%
日本酒度: -2.0
酸  度: 2.5
アミノ酸度: 1.2
度数: 16.5%
酵  母: 山形酵母
価  格: 720ml 1365円(税込)


Posted by たわらや at 06:37│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。