2011年02月16日

お燗酒は日本の文化【前編】

◆ お燗酒は日本の文化

  お燗にして風味がよくなる日本酒を「燗あがり」する日本酒と言います。一般的に、旨味や酸味が多く、味のしっかりしたボディのある日本酒が、燗して美味しいとされています。
 反対に香りを楽しみたい大吟醸酒や、フルーティーでフレッシュさを味わいたい生酒などは、常温や冷やのほうが、持ち味を殺さず美味しくいただけます。冷で美味しい酒、お燗で美味しい酒は酒質が違います。
 お酒の魅力を最大限引き出すために大切なのは、そのお酒の特性を知ることです。日本酒が最も輝く(美味しい)温度帯を見つけてあげることです。一口のお燗と言っても温度帯によって呼び方と味わい方が違います。御存知でしたか。大よそ、5℃刻みでお燗酒の呼び方が違うのです。先人たちは、この微妙な温度の差を見極め、お燗酒を楽しんでいたのでしょう。また、サービスする燗番娘も、この微妙な温度差を見極め、美味しい状態で日本酒をお客様に出していたようです。もちろん、レンジが無かった時代ですから、湯煎と徳利でやるお燗酒は、燗番娘の腕の見せ所でした。
 熱燗といっても、煮立ったように熱い日本酒ではないのは見ておわかりの通り。あまり温度を高くするとお酒の味のバランスが崩れてしまいます。香味のバランスが崩れたお燗酒は、温度を冷やしても元の香味には戻りません。
(不可逆)。日本酒はデリケートな酒です。
 濃醇なタイプの日本酒は比較的高い温度(上燗や熱燗)でも大丈夫ですが、シャープで淡麗なタイプのお酒は人肌燗やぬる燗程度で楽しむのがおすすめです。
 河豚のヒレ酒を楽しみたい方は、濃醇なタイプの日本酒をお薦めいたします。
 どうぞ、5℃刻みに日本酒の温度を上げてみてください。きっとその日本酒が輝く温度帯があるはずです。
そして、5℃ごとに微妙にお酒の香味が変化します。まさに日本酒のお燗酒は文化そのものです。

一般的な温度帯のによる日本酒の呼び方
とびっきり燗 約55℃
熱燗 約50℃
上燗 約45℃
ぬる燗 約40℃
人肌燗 約35℃(体温
ひなた燗 約30℃
常温 約25℃
涼冷え 約15℃
花冷え 約10℃
雪冷え 約05℃





Posted by たわらや at 17:05│Comments(1)
この記事へのコメント
たわらや様
近頃寒いので、お燗でばかりです。勉強になりました。
お燗も色々試してみるものですね。
Posted by 金魚の郷の油屋さん at 2011年02月16日 22:09
 
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