2011年02月03日

知っているようで知らない酒の話№129酒蔵の労務管理(後編

知っているようで知らない酒の話 №129 江戸時代の酒蔵の労務管理「後編」

■ 碓屋の職制

 米を精米する作業を担当する職人です。お米の外側には、日本酒を仕込んだ時に雑味となる成分が多く含まれています。日本人は経験的にそのことを知っていました。そこで米を搗いて精米するのです。



碓頭(うすがしら)…現在では精米杜氏といいます。精米の部署の責任者です。

桝取(ますとり)…計量する係

米踏(こめふみ)…実際に足踏み精米によって精米する人。

精米の部署でも、上人(じょうびと)・中人(ちゅうびと)・下人(したびと)、飯焚き(ままたき)

がいました。

 碓屋は米を精白する米糠で髪の毛から体じゅう真っ白になります。そこで、白子とか白鼠(しろねずみ)とか言われたそうです。

 

 元禄時代、諸白700石(126kl)醸造するために、酒米1000石(150t)を必要としました。

 例えば、毎日、毎日、酒米10石ずつ仕込むならば、100日を要します。このことについては、前述いたしました。10石日仕舞蔵での稼働人数は、杜氏、頭、麹師、酛廻りの他に約15名を必要としていたようです。全体で約20名となります。
 これに精米を担当する碓屋が20~25名を必要としました。

 よって、10石日仕舞蔵では、

製造部署20名+精米部署20~25名、合計40名~45名の職人がいました。



■ 蔵は女人禁制

 いつの時代に始まったか分かりませんが、昔は酒造りの蔵の中は女人禁制でした。

 厳冬の100日間、若い男衆が大勢いる酒蔵の中に、女性が入ると、集中力が衰えるからだ、とか、酒造りが上々にできるように、酒造りで事故がないように祈願している酒の神様が女性の神様であり、蔵内に女性が入ると嫉妬してしまうからだ、とか諸説あります。

 いずれにしても、よい酒を集中して仕込むための戒めを律したことのようです。



■今では

 今の酒づくりで、千石蔵でこのような職人はいません。精米は電気によりローラーを回転させ、自動で精米する精米機が取りつけてありますので、ほとんど碓屋はいなくなりました。

 酒づくりの部署でも、省力化の機械の導入で蔵人が少なくなっています。




Posted by たわらや at 06:21│Comments(0)
 
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