2011年01月29日

分かりやすい醸造学-5‐麹米をつくる①

分かりやすい醸造学-5‐麹米をつくる①

■ 麹米を造る

 前回、麹(菌)の役割を書きました。日本酒の特徴の一つに、麹菌が作り出した酵素による、米のデンプン質の糖化反応と、糖化された糖分を酵母が消化するアルコール発酵反応が同時に進行します。そうすることで、日本酒は世界の醸造酒の中で最も高濃度のアルコールを造り出すことができるのです。「糖化」と「アルコール発酵」を同時に行うことを、並行複発酵といいます。

◆ 蒸した米を冷やす(放冷)

 蒸しあがった白米は高温であるため、適度な温度(約35℃)に急速に冷やす必要があります。放冷機という機械を使って冷やすことが普通ですが、吟醸酒や大吟醸の仕込みでは、機械を使って冷やさず、蔵の廊下などに広げて、自然に冷まします。
 筵(むしろ)の上に、蒸し上がった米を広げて冷やすという原始的なやり方をします。

◆ 麹室で麹をつくる

 約35℃で冷ました蒸米を麹室に引き込みます。ここで床いっぱいに広げ種麹を振り掛けます。この時、網よりも目の細かいシルクの袋を使い、純粋に菌糸だけを降りかけます。

 種麹の使用量は添麹で100kgに対し30g、仲麹で100kgに対し20g、留麹で100kgに対し10g使用します。
 種麹を振り掛けた後、約32℃になったら山のように盛り上げて、これ以上温度が下がらないように毛布を被せます。そして約8時間後の夕方には、朝盛り上げた麹米を一度広げて揉みほぐし、もう一度盛り上げて次の朝まで待ちます。

(写真:天吹酒造 種つけの様子。天吹酒造ブログ平成23年1月16日参照)
分かりやすい醸造学-5‐麹米をつくる①




Posted by たわらや at 08:57│Comments(0)
 
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