九州初 酒米『亀の尾』で泰斗を造ろう №6 上槽
九州初 酒米「亀の尾」で泰斗を造ろう
シリーズ6:2月20日 上槽(搾る)
◆ 酒米『亀の尾』純米酒 しぼる
本日(2011年02月20日)午前11時より、熊本県山鹿市・千代の園酒造㈱にて、上槽(お酒を搾る)作業が行われました。上槽とは、モロミの液体部分(清酒)と固形部分(酒粕)に分離するという作業です。
亀の尾は、昨年11月に千代の園酒造へ持ち込まれました。収穫した米の量は860㎏。これを65%まで精米しまし、総米560㎏の仕込みで純米酒を造りました。通常の日本酒の仕込みが総米1500㎏、大吟醸小仕込みでも750㎏ですから、この『亀の尾』の仕込みが如何に小さいかが分かると思います。
1月16日(日)に酒母麹米の浸漬が始まりました。その後、酒母づくりが行われ、1月26日・本仕込み・初添え、1月28日・中添え、1月29日・留添えが行われました。
『亀の尾』のお米の特徴を、千代の園・製造部・金重真一氏(41)にたずねたところ、「お米が硬い。吸水を慎重に行う。そうしないと、麹米が上手くゆかず、お米が溶けなくなる。初めての種類の米なので、慎重に仕込む」とのことでした。
それから、23日。仕込み日数23日目の今日、上槽の時期を迎えました。昨日のモロミの状態は、日本酒度±0、アルコール度数17.4%、酸度2.35、アミノ酸度1.5だったそうです。
午前11時、仕込みタンクのノミが切られました。下の置いてある半切りのタライに、真っ白なモロミが迸ります。この日、集った方は、熊本酒文化の会「泰斗」販売の酒屋、たちばな酒店(熊本市)さん、緒方酒店(大津町)さん、宮本酒店(水俣市)さん、渡辺酒店(菊池市)さん、野田酒店(山鹿市)さん、酒の蔵元(長洲町)さん、そして私の7店。テレビ取材として熊本県民テレビ3名、醸界タイムス・上籠支局長が見守る中、約1時間の上槽が行われました。
◆『亀の尾』純米酒はべっぴんさん
昨日のデーターからすると、本日の酒は、想像ですが、
日本酒度+1~+2
アルコール度数18°弱
酸度2.4
アミノ酸度1.5
でしょう。
迸る亀の尾のモロミの香りは、涼しげな、高いところで香る吟醸香がありました。酵母は熊本KA-1号酵母。熊本では定番中の定番の酵母。私もこの酵母で仕込んだ、千代の園の酒をたくさんきき酒しましたが、香りの表現が明らかに違っています。精米歩合65%と、はっきり言ってあまり磨いていない米にして、モロミが大吟醸の高精白米のように真っ白。これには驚きました。
モロミをテフロンの酒袋に入れて、氷枕を縦に並べる容量で、槽の器の内側に並べていきます。テフロンの布の隙間から、自然に亀の尾の酒が迸ります。徐々に酒袋を上に積み上げていくために、下部は圧力がかかり、さらに酒が迸るのです。
ここで、出てきた酒は『あらばしり』といいます。
自然に迸らなくなると、槽の上から圧力をかけて酒を搾るのです。「あらばしり」から「中汲み」、そして「セメ」と呼ばれます。香味もそれぞれに違っていきます。
これから、2日間をかけて、亀の尾の酒を搾ります。
さて、一番みなさんが知りたい部分を書きます。
酒はどんな感じかということですが。香りは、青リンゴ、若草、ミントを思わせる香りです。熊本酵母らしい熟れたバナナの香りが全く感じられません。香りからこれまでの熊本の酒にない香りの酒でした。
続いて味わい。すっきりした爽やかな味わい。きれいな旋律の酒質。フランスアルザスの白ワインのように、すっきりした辛口の酒質です。お世辞にも芳醇ではなく、スレンダーな酒質。酸度2.35という高い酸度とは思えない酒質です。産まれたばかりの酒は、炭酸ガスが絡んで飲みにくいのですが、この酒はすでに飲みごろ。アルコール度数を15.5%に和水すると、きっと水っぽくなる気がしました。無濾過原酒の状態で、十分にバランスが取れて美味しいお酒です。
◆発売は?。(あくまで予定)
発売本数は、総米560㎏で、垂れ歩合300ℓ/1tで計算すると、無濾過生原酒で980ℓの酒ができることになります。一升瓶で550本程度。20店の販売店で販売すると、約30本程度の少ない量です。
発売は3月12日(土)・九州新幹線開業の日の予定です。泰斗の販売店で発売します。
亀の尾を田植えから発売までを、3月9日(水)夕方の熊本県民テレビ(KKT)のニュースで放映されます。ご覧ください。
価格は、未定ですが、1800ml・2625円、720ml・1313円かなぁ~。
【責任問合先】
㈲たわらや酒店 宇野 功一
096-232-3138 メール:
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