天狗納豆-日本のうまかもん-
宇野功一の選んだ『日本のうまかもん』 №1
天狗納豆(水戸)
◆ 天狗納豆のそぼろ納豆
私の好物の一つが納豆です。納豆の消費地は、東日本なんですが、何故か、熊本は飛び地的に納豆の消費が多い県です。これは後で述べるとして、好物の天狗納豆のそぼろ納豆をご紹介します。
東京・上野駅の常磐線プラットホームのキヨスクには、藁つとに入った天狗納豆が販売してあります。知っているという方も多いのでは。何と言っても、赤い天狗の図柄がインパクトがあります。
幕末維新において、先駆的に活動をしていた水戸天狗党。創業者・笹沼清左衛門は、天狗党の思いを仕事に活かしたと考え、近代的な納豆製造業を起業化。商品名を天狗納豆で売り出したということです。
常磐線も水戸まで伸びて、水戸偕楽園の梅をめでる見物客が、水戸天狗納豆を手土産に持って帰ったそうです。小粒の納豆は瞬く間に有名になりました。
余談ですが、鉄道が走ることによって名物が生まれる最も元祖が天狗納豆であったと思います。現在では新幹線の延伸で名物が生まれます。仙台の牛タンや笹かま、博多の辛子明太子などなど。九州新幹線延伸で、熊本からも新しい名物が誕生するかもしれませんね。楽しみです。
この天狗納豆に、国産の切干大根をまぶしたものが「そぼろ納豆」です。シャキシャキとした切干の歯ごたえと、納豆と切干の独特の味わい。病みつきになりそうな味です。アツアツの白ごはんにかけて食べてもよし。私は、酒の肴に「そぼろ納豆」を食べます。九州では売っているお店がないため、天狗納豆の通販を利用すると購入できます。
◆ 余談・なぜ熊本は納豆の消費が多いのだろう
熊本の納豆の消費量は年間1人当たり40パック。これは東京と並ぶ量です。西日本でダントツの消費量です。
1592年の文禄の役で、加藤清正公は秀吉の命によって朝鮮へ出兵。戦いは惨憺たるもので、食糧を十分に確保できずにいました。煮た豆を米俵に入れて運び、馬の体温で煮豆は発酵が始まりました。糸を引く煮豆をしかたなく食べることになった清正公。食べてみるとなんと美味。この出来事から、熊本は納豆を食する文化が生まれたと言われています。
その納豆大好きな私がお薦めするのが天狗納豆「そぼろ納豆」です。